1月5日(木)

休憩バイクがあれば仲間になるには時間は不要

走行距離1034キロ

深夜、朝2時30分に出発する。何とかパースに楽に着ける所まで行きたい!
暗闇にカンガルーの飛び出しに注意しながら、110キロ前後のスピードで行く。
80キロ走行するとやっと対向車とすれ違う。
夜空の星を見ながら、あれこれ思いを馳せながら、ただパースを目指す。
気温は25℃から段々下がり始める。
前日の日中41℃のドライブを避ける為、夜のドライブを選んだ事もあるのだ。
道路はほとんど直線、緩いカーブが続く。途中、ストレッチをする為にバイクを停める。
バイクのエンジンとライトを消すと、そこは真っ暗闇だった。
日本の夜とオーストラリアのアウトバックの夜ではこれほどまでに明るさが違うものか。
5メートル先はもう何も見えない。
暗黒と静寂と淋しさが自分をつつむ。
冷気が頬をなでる。路上に横たわり夜空を見上げる。
上空はギラギラと満天の星が一つ一つ私を見つめているように輝く。
天の川もはっきりと見える。
日本人としての生い立ち考え直してみたり、未来の自分、
未来の日本と世界、しばらくすると宇宙との対話が始まる。
人生の中でいまおれは人生最高の輝きを放っていると思う。
そちらから俺の輝きを感じることができますか?
そして、宇宙の悠久の時間の中で今自分が生きている事を実感する。
自分を生んでくれた人、此処まで育ててくれた人、関係した全ての人に心からのう感謝を言いいたい気持ちになった、
もしこれが満月の夜であれば全く違った現象に遭遇するに違いないと思う。
しばらく行くとガススタンドが1つ現れる。
まだとても営業時間ではない。予備タンクを使い切るなら400キロはいけるはずなので、
予備タンクのガソリンを注入しておいて次を目指す。

東の空がうっすらと明るく見え始める。気温はまだ下がり続け、18~19℃に下がる。睡魔が襲う。声を出す。
負けるな!ここで死ぬなよ、と自分に言い聞かせる。直線の道路。
『あれ!』と思うと1秒2秒目を閉じた自分に気付く。
そんな状況が30分くらい続く。仕方なくバイクを停める。薄明るい荒野に降り立つ。
草は乾燥しているのでヘビなどいない事を願って、道路脇草むらにごろりと横になる。
何かヘマをしていないか気にしながら目を閉じる。すると突然うるさいロードトレインの音がする。
ゴーッとうなっている様だ。『まだこんな時間なのに』と目を開けると、
もうそこには青空と地平線から20~30℃上がった太陽の光があった。
自分が僅か1·2分目を閉じたと思ったのは、実は2·3時間寝ていたのだった。

またバイクを走らせる。カーナボンの町に着く。この辺りはバナナを盛んに生産している様だ。
バナナ園が目につく。町の全体を見た訳ではないが、美しく整った田舎町に見えた。
ガソリンの補給とコンビニで買った朝飯をスタンドの片隅で立ち食いする。30~40分の休憩になっただろうか。

次の目的地はグラードトンだ。
もうこの辺りはほとんど海岸の側なのだ。だから気温が上がらないのだ。バイクで走ると少し寒いくらいの温度が続く。
もう400キロは走行していた。グラードトンの町まではまだ350キロ位あるので、疲れた自分には不安であった。
途中、脇道に逸れる様な事になるが、世界自然遺産に登録された半島を見る事にした。
とは言っても片道130キロ以上ある道のりだ。往復で250キロは余計に走る事になるが、
またとない世界遺産が隣にあるのだから見ない訳にはいかない。
インド洋の海、5キロはあろうかと思う白い貝殻だらけで出来た白い砂浜ならぬ貝殻浜を見た。
先端のデンハムの町は100キロあった。
スパゲティーとコーヒーを飲んで、早々に引き返す。この半島は高い木が全く生えていない。
全部1メートル以下の植物が地面を覆い、なだらかな丘陸地が続く。全く手つかずの半島だ。
これでも知多半島の数倍も大きいのだから、驚く。オーストラリアはスケールが違う。
私は62歳になるまで本当の地平線はどんなものか、見た事がなかった。
海を見た事がない人が初めて海を見た様な感動を味わう。疲れ切ってグラードトンに着いたのは夕方。
トリップメーターは当然1000キロオーバーであった。よく頑張りました。

2013年 4月 12日 更新 | オーストラリア大陸2万キロのバイク1人旅

 


 

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